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TOP > プロフェッショナルレビュー > ＜写真家礒村浩一さん＞OLYMPUS PEN-F専用グリップ付きカメラベース

J.B. Camera Designs　OLYMPUS PEN-F専用グリップ付きカメラベース

OLYMPUS PEN-Fはシンプルかつ直線的なクラシカルデザインが魅力のカメラだが、そのデザインのおかげでカメラグリップはほぼ無いに等しくホールド性は決して高いとは言えない。オリンパス純正として外付けグリップも用意されてはいるが、黒一色のグリップは私が所有するシルバーのPEN-Fとの組み合わせでは重い印象となるため、正直、装着には躊躇いがあった。

今回使用したのはOLYMPUS PEN-F専用グリップ付きカメラベース（バンブー）である。そのいちばんの特徴はカメラベースが木や竹といった自然素材でできていることだ。このグリップ付きカメラベースはカメラの機種に合わせて作られたハンドメイド品である。金属外装でソリッドな印象のPEN-Fと、自然素材の組み合わせとは想定外の組み合わせではあるが、無駄のないデザインのおかげで意外なほど上手く融合している。

もう一つの特徴はカメラに合わせて最適な形状となされていることだ。グリップはアルミ製の黒い円柱で、その太さはPEN-Fを握った時に絶妙なグリップ感をもたらす。もともとPEN-Fの背面には右手親指を添えるサムレストが用意されているが、グリップと併せて使用することで完全に右手の掌だけでカメラをしっかりとホールドできるようになる。右手親指で操作するFn1ボタンも安定して押せるようになるのもありがたい。

カメラベースを装着した状態のままでも、カメラ底面の電池室の蓋を開くことができるので、充電池交換及びメモリーカードの抜き差しも問題なく行える。もちろん側面のリモートケーブル＆デジタル入力端子の蓋もそのまま開閉が可能。そして横出し方式のバリアングルモニターもカメラベースに一切干渉することなく使用できる。

PEN-Fにカメラベースを取り付ける意味はグリップ感の向上のみではない。実は細身の単焦点レンズとの組み合わせを想定し設計されているPEN-Fに、オリンパスのPROレンズなど鏡筒の太いレンズを装着すると、ボディ底辺よりレンズの方がはみ出てしまう。これにより三脚によっては正しく雲台に固定できない場合がある。そしてそのままの状態で三脚ネジを締め込むとレンズのズームリングは雲台に干渉し回せなくなってしまう。また締め過ぎてしまうとレンズの光軸とカメラのセンサーのセンター位置がずれてしまい、画質低下の原因となるのだ。

これらの不都合を解消するためにはカメラベースでカメラと雲台の間に緩衝材を入れる必要があるのだが、このPEN-F専用グリップ付きカメラベースを使用することでこの不都合を解消することができる。もちろんカメラベースには三脚に固定するネジ穴も用意されているので問題なく三脚に固定することができる。

このように特定のカメラ機種専用に設計されたことで、PEN-Fと非常に高い親和性を持たせたカメラベースとなっている。そしてバンブーやウッドのナチュラルな自然素材と組み合わせることで、ソリッドで冷たい印象にもなるPEN-Fの表情が穏やかになったようにさえ感じる。これは被写体にとっても金属の塊のカメラをいきなり向けられるよりは、わずかかもしれないが心穏やかに受け入れることができる、その助けになるのではないだろうか。

このOLYMPUS PEN-F専用グリップ付きカメラベースは、使用することでホールド性が向上する上に見た目にも個性を出せる。ちょっと人と違うPEN-Fを手にしたいという人にはうってつけなアクセサリーだ。