今日もくもり。シアトルの3日目はゴーディーズカメラストラップの工房があるウイッビーアイランドへ向かいました。シアトルからUberで手配した車でフェリー乗り場まで40分ほど北上し、そこからフェリー20分ほどで島に到着します。
近くのスタンドでフィッシュアンドチップスとコーヒーを買って乗り込みます。ファミレスみたいなテーブルと大きな座席。大きな窓から静かな海と対岸の島を望みます。
ウィッビーアイランドに降り立つと、初めて会うゴーディさんが笑顔で待ち受けてくれました。恰幅の良い優しいおじいさんです。そこから彼の車でおしゃべりしながらゴーディーズカメラストラップの工房へ向かいます。
窓の沢山ある明るい工房で待っていたのは、ゴーディの息子でゴーディーズカメラストラップを作る革職人のロビー。革のカッティングから完成までの一連の流れを説明してくれました。
小さな工房に整然と製作工程順にならぶ作業台と整頓された工具とパーツ類。上の写真は切り出した革をワックスコードで巻く最終工程の作業台。人気の色ほど糸巻きが大きいそうで、赤が一番の人気。
今回の訪問で一番印象的だったのは、ゴーディさんが見せてくれた1949-50年の東北の写真群。彼の祖父が戦後盛岡に在任した際にライカIIIcとコダクロームで記録した写真を、ゴーディさんが時間を掛けてスキャニングとレタッチしてまとめたそうです。
父親も軍属だったゴーディさんは少年時代の数年間を立川で過ごしたとのこと。日本から遠く離れたワシントン州の小島で自分の知らない時代と日本の風景が写るカラー写真、そしてゴーディさんと日本とのかかわりを思いがけず知ることとなりました。上の写真にはゴーディさんの祖母とパーマをあてた日本人メイドと料理人がはにかんだ笑顔で写っています。
戦後の日本を撮影し、おじいさんから受け継いだライカIIIcはまだ現役だそうでゴーディさんのコレクションの中でもっとも大切なカメラの一つ。
ゴーディズカメラストラップの工房で。
ゴーディズカメラストラップ工房外観。ここで制作されたカメラストラップは向かいの郵便局から沖縄へ、そして世界中のカメラファンへと届けられます。
作りかけのジグソーパズル。帰りのフェリーでゴーディさんと過ごした時間を思い起こしながらシアトルへ戻ります。ゴーディさんに会いたい、工房を訪れたい、そんなちいさな衝動にまかせてやってきたウィッビーアイランド。
ゴーディさんと戦後日本のカラー写真、そしてその写真を撮影したライカをはさんで話ができたことは旅の大きな収穫になりました。帰国後ゴーディさんから送ってもらったこの写真群を、今一枚一枚じっくり見ています。風景に映り込んだ看板などから、写真群の中には盛岡のほか、福島県郡山市の安住國造神社での祭りの様子が記録されていました。
そのうちの何枚かをご紹介してレポートを終わりたいと思います。